壁面緑化には時間がかかる?導入までにかかる時間などについて解説

「壁面緑化にどの程度時間がかかるのか」や「施工前に検討してほしいポイント」などを詳しく解説しています。とても深い部分の話をしていますので、導入を迷っている方はご一読ください。

商業施設でよく見られるようになった「壁面緑化」は知名度や注目度が上がってきています。しかし、一方で「設置にどの程度時間がかかるのか」といった情報はあまり知られていません。そこで今回は「壁面緑化にどの程度時間がかかるのか」や「施工前に検討してほしいポイント」などについて解説していきます。

壁面緑化とは

壁面緑化とは、その名の通り「壁を意図的に植物でおおう」という緑化をさします。近年では、ショッピングモールやカフェなど、様々な施設に取り入れられ始めています。特にヒートアイランド現象の進む都市部や、空気の汚染が心配される工業地帯では注目されることが多い技術です。

しかし壁面緑化は、上記の通り壁を植物でおおうため「一朝一夕で完成」とはならず、その後の管理も必要になってきます。そのため、施工後のメンテナンスコストも視野に入れ、検討してください。

また、壁面緑化では「工事完了時に、ほぼ完成している」という状態が求められます。そのため、あつかう植物の生産、植付や育成管理などが必要になります。 また、基盤部分に使われる
・土壌の量
・土壌の質
がとても重要です。2つのうちでも、特に土壌量が不足した場合には、植物を植えてから数年が経過しても「壁面がおおいきれない状態」となる可能性があります。そうなると、壁面緑化の効果が薄れるどころか、持続性がなくなってしまい、コスパも悪くなってしまいます。

そのため
・信頼に足る施工実績があること
・施工後の経過が良好であること
・壁面緑化技術に安全で安心なシステムを使っていること
などを、壁面緑化を行う際には確認してみてください。

壁面緑化にどの程度時間がかかるのか

まず、結論から言えば「使われる植物種」によっても多少異なりますが「数か月」はかかると思ってください。例えば、夏時期の5~9月で考えた場合には、少なくとも「3ヶ月は必要」となります。また、現場の竣工時期などによっても、必要期間は多少前後するため注意してください。

多くの場合、壁面緑化の施工業者は正式な発注後から苗を育てるため、時期によって生育状況に差が出ます。もしも「施工までには、壁を完全におおえるだけの緑が欲しい」という場合には、それに応じた期間がかかります。

また、植物の育成には「日当たり」などの周辺環境も関係してきます。そのため「日当たりが悪い」という壁面に施工をする場合「日当たりが悪くとも育つ植物」を選ぶ必要があることも覚えておいてください。

壁面緑化に時間がかかる理由

壁面緑化に時間がかかる理由ですが、上記で述べた通り「生育に時間がかかるから」です。近年では、あまり時期を選ばず生育が可能なタイプもでてきていますが、それでも生育には多少時間がかかります。そのため、基本的に
・発注から施工までがあまりにも早すぎる場合
・植物を基盤で育てる期間が秋~冬のみの場合
には、育成が間に合わなかったり、遅くなったりしやすいです。

また、苗を温室などといった「害の少ない最適環境の下」で育てた場合、その後いきなり「冬季施工」というのは厳しいです。なぜなら、人為的に作られた「害の少ない環境」で育った苗には「厳しい環境に耐える耐性」がないからです。そのため、傷みやすかったり、環境に適応できず枯死してしまったりします。

上記からわかる通り「苗を最適環境下で早く育てる」というのは不利益が大きいため、設置場所の想定される環境に近い条件で苗が育成されます。そのため、育成にも時間を要するわけです。また、使用される苗は
・充分に根がはっていること
・根づまりをしていないこと
を確認して選ぶのがおすすめです。

施工前に検討してほしいポイント

施工前に検討してほしいポイントは「良好な灌水設備の設置」です。(「灌水」というのは水やりのことだと思ってください。)一般的に、壁面緑化は屋上緑化などに比べた場合「灌水設備の必要性が高い」と言えます。なぜなら、壁面緑化の場合、接地する場所が壁面であるため「人の手での水やり」が困難だからです。

また、もし灌水トラブルが起きてしまった場合には「即日、すべての植物が枯死する」という可能性もあります。そのため、使われている植物全体に対し「均一に水が行きわたるシステム」が必要となります。

現在、灌水設備の中でも最も普及しているのが「点滴式自動灌水システム」と呼ばれるものです。このシステムは、あらかじめ
・水圧
・水の流量
を決めておき、その範囲内で均一に灌水を行うというものです。

また、灌水を行う上で発生してしまう「余剰分の排水処理」についても「雨どいを設置する」など対処方法の検討をしてください。もしも「どんな方法が良いのか?」と迷った場合には、施工業者に相談してみることをおすすめします。

壁面に対し均一に灌水を行うポイント

壁面に対し均一に灌水を行うポイントは主に
・壁面の高低差に応じ水圧を調整する
・灌水システムにつなぐホースの長さが充分か確認する
・水圧と水量が適切かの確認をする
・配管内部に水抜きの工夫をする
以上の4つです。順に解説していきます。

壁面の高低差に応じ水圧を調整する

まず、壁面緑化ではその名の通り「壁面」に植物の設置を行うため、場所によって高低差が生まれます。そのため、壁の高い部分は「水圧を高めにして届かせる工夫」などが必要です。また逆もしかりで、壁の低い部分は「水圧を低くする」ということが必要です。

つまり、水圧を場所によって変化させる必要があるわけです。この水圧変化を行わなかった場合、灌水量が均一にならないため、場所によっては水が足らず植物が枯死したり、水圧によって根を痛めたりするリスクを伴いますので、注意してください。

灌水システムにつなぐホースの長さが充分か確認する

灌水システムにつなぐホースの長さが充分でない場合にも、上記同様に灌水量が不均一になりやすいです。一般的には、緑化部分の両端にホースが取り付けられ灌水が行われるため、長さが不十分だと水量などに影響がでます。そのため、事前に「必要なホースの長さ」を確認しておくことをおすすめします。

水圧と水量が適切かの確認をする

給水を行う際には
・水圧
・水量
が「壁面緑化の灌水に充分か」を確認してください。この水圧、水量が必要量に満たない場合には、トラブルが起こりやすくなります。また、壁面緑化で起こるトラブルの多くは「灌水の水量や水圧」が原因です。これはヒューマンエラーであることが多いため、灌水の管理は徹底することをおすすめします。

配管内部に水抜きの工夫をする

配管の内部には、当然ながら停滞する水があります。これを放置しておくと、夏は温められ温水となり、冬は場所によっては凍結するなど、配管や植物を傷める原因となります。そのため「水抜きの工夫」をすることが推奨されていることも多いです。

施工業者に相談をすれば丁寧に方法を教えてくれる場合もあるため、まずは相談をしてみてください。また、使っている灌水システムや、そのメーカーによっては公式サイトなどに「工夫の記載」が見られる場合もありますので、あわせて確認されることをおすすめします。

まとめ

ここまで「壁面緑化にどの程度時間がかかるのか」など詳しい部分について解説してきました。導入や管理の際には不安なども多いと思いますが、この記事がお役に立てば幸いです。